士業のサイトで、なぜ問い合わせが起きないのですか

相談する側が知りたいことと、書いてある内容がずれているためです。

税理士や社労士を探している人が確かめたいのは、次の3つです。

知りたいこと よくある記載 相談者が受け取ること
自分の状況を扱ってもらえるか 「法人・個人を問わず幅広く対応」 判断できない
いくらかかるか 「ご相談ください」 高いのかもしれない
誰が対応するのか 事務所の外観写真 分からない

いずれも「書いていない」のではなく、「広く書きすぎて答えになっていない」状態です。士業は扱える範囲が広いため、絞ると仕事を逃すように感じます。しかし相談者から見ると、何でもできる事務所は、自分の件に強い事務所には見えません。

対応分野は、どこまで絞るべきですか

すべてを載せたうえで、入口だけを絞ります。

分野を減らす必要はありません。減らすのは、トップページで前面に出す数です。3つまでに絞り、それ以外は一覧として下に置きます。

前に出す3つの選び方は、次のとおりです。

  • 直近1年で、実際に依頼が多かったもの
  • 対応していて利益率が高いもの
  • 続けて依頼が来るもの(顧問契約につながるもの)

「相続」「創業融資」「法人成り」のように、相談者が自分の言葉で言えるものを選んでください。「税務コンサルティング」のような呼び方は、相談者が検索する言葉ではありません。

検索の面でも同じです。「税理士」だけで戦うと全国の比較サイトが相手になります。「地域名 税理士 相続」のように、地域と分野を組み合わせた言葉なら、競合は近隣の数事務所です。

料金を出さないと、なぜ不利なのですか

相談者は、高いと決めつけて他をあたるためです。

金額を出さない事情は分かります。案件ごとに手間が違い、定価が作れないからです。それでも、次の形なら出せます。

  1. 顧問料の下限。 「月額○○円から」だけでも、桁が伝わります
  2. 料金が決まる条件。 売上規模、訪問の回数、記帳を誰がやるか
  3. 単発の業務の目安。 確定申告のみ、相続の申告のみ、といった区切りで

出せない場合は、代わりに「見積もりの取り方」を書いてください。何を伝えれば概算が出るのかが分かれば、相談者は動けます。

金額の話をまったく置かないサイトは、比較の土俵に乗りません。相談者は複数の事務所を並べて見ています。金額の記載がある事務所から順に連絡します。

顧問料を下限だけ書くことに抵抗がある場合は、条件を添えてください。「売上1億円未満・訪問は年4回・記帳はご自身で」といった前提を書けば、その金額が何に対するものかが伝わります。前提のない数字だけを置くより、後の食い違いも減ります。

顔と経歴は、どこまで出すべきですか

顔写真と、どの分野をどれだけ扱ってきたかは出してください。

士業は、資格で差がつきません。同じ資格を持つ人の中から選ばれる必要があります。相談者は、税務の技術ではなく「話しやすいか」で選びます。

載せる項目は次のとおりです。

項目 書き方
顔写真 事務所の外観ではなく人。かしこまりすぎない表情で
経歴 前職や独立の年。何をしてきたかが分かる範囲で
扱ってきた分野 「相続の申告を年間○件」のように、数か期間で
相談のときの姿勢 どこまで踏み込むか、何をしないか

数を書くときは、実際の数だけを書いてください。分からない数を「多数」と書くくらいなら、書かないほうが信用されます。

「相談のときの姿勢」は、多くの事務所が書いていない項目です。ここに差が出ます。初回の相談で何をどこまで聞くのか、その場で答えられることと持ち帰ることの区別、対応しない分野。書きにくいことほど、読んだ人には誠実に映ります。断る基準が書いてある事務所は、書いていない事務所より信用されます。

事務所の情報は、どこに書けばよいですか

サイトの1か所にまとめ、他のページからはそこを参照します。

事務所名、住所、電話番号は、書く場所が増えるほど表記がずれます。「1丁目2番3号」と「1-2-3」が混在する、旧住所が残る、といったことが起こります。

この表記ゆれは、地域名での検索で不利に働きます。検索エンジンは、複数の場所から集めた情報が一致するかを見ています。地図サービスの登録情報とサイトの記載が食い違うと、同じ事務所として扱われにくくなります。

当サイトでも、社名・住所・電話番号は1つのファイルにだけ書き、各ページはそこから読み込む形にしています。人が転記しない仕組みにしておけば、ずれようがありません。

AI検索に、事務所の情報をどう読ませますか

書いてある内容を、機械が読める形に直します。

相談先を探す人が、検索結果を見ずにAIの回答だけで判断する場面が増えています。AIはページの前半を引用する傾向があるため、結論が先に書いてあるページが有利になります。

やることは3つです。

  1. 各ページの冒頭で用件を済ませる。 「当事務所は○○市で、相続の申告を中心に扱っています」のように書きます
  2. 構造化データを入れる。 ページの意味を機械に伝える記述です。事業者情報、パンくず、よくある質問に対応するものを入れます
  3. よくある質問を、文字としてHTMLに出す。 開閉する仕掛けにする場合も、最初から文字が入った状態にします

当サイトでも同じことをしています。よくある質問は開いた状態で出力し、JavaScript が読み込まれた後に折りたたんでいます。見た目は同じでも、機械が読み取れる情報量が変わります。

何から直せばよいですか

上から順に進めてください。文章を足すだけで終わるものから並べています。

順 やること 目安
1 前に出す分野を3つに絞る 半日
2 顧問料の下限か、料金が決まる条件を書く 半日
3 顔写真と経歴を載せる 1日
4 事務所情報の表記を1か所にまとめる 半日
5 よくある質問を10問書く 1日
6 構造化データを入れる 制作会社に依頼

1から5は自社でできます。順位を上げる作業から始めたくなりますが、中身が整っていないサイトの順位を上げても、訪問者が増えるだけで相談は増えません。

見た目と文章のトーンをまとめて整えるなら、ブランディングデザインの範囲になります。検索に読まれる仕組みから確かめたい場合は、SEOとは何をすることかをご覧ください。

よくある質問

Q. 顔写真を出したくない場合、どうすればよいですか

無理に出す必要はありません。ただし、その分は文章で補ってください。どの分野をどれくらい扱ってきたか、相談のときに何をどこまで聞くかを具体的に書きます。相談者が知りたいのは容姿ではなく、話しやすい相手かどうかです。写真がなくても、書き方で伝わります。

Q. 料金を載せると、値段だけで選ばれませんか

値段だけで選ぶ人は、載せていなくても他へ行きます。金額を載せる目的は、安さを訴えることではなく、比較の土俵に乗ることです。下限と、料金が決まる条件を並べて書けば、条件を伝えてくる相談が増えます。安さだけを聞く連絡は、むしろ減ります。

Q. 士業でも記事を書いたほうがよいですか

分野を絞ったうえでなら効果があります。制度の解説を広く書くより、相談の場でよく聞かれることを、そのまま1本ずつ書くほうが読まれます。相談者が自分の言葉で検索するのは、制度名ではなく困っている状況だからです。書いた記事は、相談時の説明にもそのまま使えます。

まとめ

士業のホームページで相談が増えないのは、扱える範囲を広く書きすぎて、相談者の判断材料になっていないためです。前に出す分野を3つに絞り、料金の桁を示し、誰が対応するのかを見せる。この3つで、同じ訪問者数でも相談の数と質が変わります。

自社での判断が難しい場合は、いまのサイトを拝見したうえで、どこから直すと効果が出やすいかをお伝えしています。お問い合わせからご相談ください。費用の考え方は料金にまとめています。