士業のホームページで相談が増えないとき、足りていないのは実績や資格の説明ではなく、相談前の不安を消す情報です。料金、対応範囲、初回相談で何が起きるか。この3つが書かれていないと、問い合わせる理由より、やめる理由のほうが多くなります。

この記事は、税理士・社労士事務所で、サイトはあるが問い合わせにつながっていない方に向けて書いています。

結論:不安の正体は3つしかない

不安 消し方 置く場所
いくらかかるか分からない 顧問料を条件つきの表で出す 料金ページと、サービス各ページの下
自分の状況に対応しているか 対応業種・規模を先に絞って書く トップと、サービスの入口
相談したら契約させられそう 初回相談で何をするかを手順で書く 問い合わせページの直前

3つとも、書けば消える種類の不安です。専門性の説明を厚くしても消えません。むしろ専門用語が増えるほど、相談してよい相手かどうかが分かりにくくなります。

対応分野の絞り方と事務所情報の見せ方は、税理士・社労士のホームページで相談が増えない理由と直し方で扱っています。見た目からまとめて整えるなら、ブランディングデザインの範囲です。

課題:資格と経歴だけが並んでいる

士業のサイトでよく見る構成は、代表挨拶、経歴、対応業務の一覧、事務所概要という順番です。この構成には2つの問題があります。

1つは、読む側の関心と順番が逆であることです。相談を考えている人がまず知りたいのは、自分の状況を扱ってもらえるか、いくらかかるかです。経歴はその後に効きます。

もう1つは、同業と区別がつかないことです。「親身に対応します」「豊富な実績」という表現は、どの事務所にも書かれています。読み比べても差が分からないので、結局は近さか金額で選ばれます。

実際に相談者がたどる順番を考えると、この構成の問題がはっきりします。検索して事務所のサイトに着いた人は、まず自分の状況に対応しているかを確かめ、次にいくらかかるかを探します。その2つが分からないと、経歴を読む段階まで進みません。読まれない場所に力を入れている状態になっています。

もう1つ見落とされやすいのが、更新の止まったお知らせ欄です。最終更新が2年前で止まっていると、事務所が稼働しているかどうかの判断材料になってしまいます。更新できないなら、お知らせ欄自体を置かないほうが安全です。

解決策1:顧問料を、2軸の表で公開する

顧問料は案件ごとに違うため、書きにくい項目です。ただし書かないと、比較の土俵に乗れません。

現実的なのは、条件を2つ決めて表にする形です。

年商 訪問なし(年1回の決算のみ) 年4回訪問 毎月訪問
1,000万円未満 記載する 記載する 記載する
1,000万〜3,000万円 記載する 記載する 記載する
3,000万〜1億円 記載する 記載する 記載する

含まれない費用を、同じページに分けて書くのが要点です。年末調整、法定調書、償却資産税の申告、税務調査の立ち会い。これらが別料金なら、そう書いてください。後から追加費用が出るほうが、印象を損ないます。

当サイトで制作したサンプルでも、士業のページは顧問料を年商と訪問頻度の2軸で出し、含まれない費用を分けて書く構成にしています。金額の妥当性ではなく、判断できる形になっているかが要点です。

表にできない事情がある場合は、下限だけでも構いません。「月額◯円〜(年商1,000万円未満・年1回訪問の場合)」と条件を添えれば、実態から離れずに目安を示せます。条件のない「◯円〜」は、かえって不信を招きます。 最も安い条件だけを見せていると受け取られるためです。

解決策2:対応業種を、絞って書く

「幅広い業種に対応」と書くと、誰にも刺さりません。対応業種を3つ程度に絞り、その業種特有の論点まで踏み込んで書いてください。

  • 建設業:工事進行基準、外注費と給与の区分
  • 飲食業:軽減税率、日々の現金管理
  • 医療:自由診療と保険診療の按分

勘定科目レベルの話が書いてあると、「この業界を分かっている」と伝わります。絞ることで他業種の相談が来なくなるのではないかと心配になりますが、実際には絞った業種以外からも問い合わせは来ます。 具体的に書ける事務所だと分かるからです。

書く材料は、すでに事務所の中にあります。顧問先から実際に聞かれた質問、決算のたびに説明している論点、初年度に必ず起きる間違い。これらを業種ごとに並べるだけで、他の事務所が書いていない内容になります。新しく調べる必要はありません。

絞る業種の選び方は、いまの顧問先の構成に合わせるのが確実です。実績のない業種を「今後強化したい」という理由で選ぶと、書ける材料が無く、結局は一般論になります。

解決策3:初回相談の手順を、時系列で書く

「無料相談実施中」だけでは、何が起きるか分かりません。契約を迫られるのではないかという不安が残ります。

  1. お問い合わせフォームから送信(24時間以内に返信)
  2. 日程調整(オンラインまたは来所)
  3. 初回面談(60分・費用なし):現状を伺い、必要な手続きと概算をお伝えします
  4. 見積もりの提示(後日)
  5. 検討期間(この段階での契約の判断は不要です)

「この場で契約の判断は不要」と明記するのが効きます。書いていないだけで、その場で決めさせられると思われています。

手順を書くときは、返信までの時間を明記してください。 「24時間以内」「翌営業日中」のように書いてあると、送ったあとの不安が消えます。書かない場合、相談者は返信が来るまで他の事務所も探し続けます。返信の速さで決まる場面は、想像より多くあります。

初回相談を無料にするかどうかは方針次第ですが、有料でも問題ありません。 「初回60分5,000円(ご契約の場合は顧問料から差し引きます)」と書けば、冷やかしを減らしつつ、相談しやすさも保てます。無料と書いてあることが理由で選ばれる相談者は、価格で離れる相談者でもあります。

解決策4:問い合わせの手段を1つに絞らない

士業への相談は、電話をためらう人が一定数います。理由は、平日日中に話す時間が取れない、何から話せばよいか分からない、という2点です。

フォームだけでも構いませんが、入力項目を絞ってください。 会社名、氏名、連絡先、相談内容の4つで十分です。年商や従業員数を最初から聞くと、答えられない人が離脱します。詳しい情報は面談で聞けば済みます。

相談内容の欄も、自由記述だけにしないほうが書きやすくなります。「開業したばかりで顧問を探している」「いまの税理士から変更を検討している」「相続の相談」といった選択肢を数個置き、そのうえで自由記述を添える形にすると、何を書けばよいか分からずに離脱する人が減ります。

よくある質問

Q. 料金を公開すると、安い事務所と比較されませんか。

A. 比較はされます。ただし金額だけで選ぶ層は、公開していなくても最終的に金額で決めます。公開して失うのは、もともと受任しにくい相手です。代わりに、条件が合う相談者が問い合わせやすくなります。

Q. 実績や経歴は載せなくていいのですか。

A. 載せてください。ただし置く順番を後ろにします。相談を考えている人は、料金と対応範囲で候補を絞ってから、最後に「この人に頼んでよいか」を経歴で確認します。判断の順番に合わせて並べるのが要点です。

Q. 顔写真は必要ですか。

A. あったほうが有利です。士業は人に依頼する仕事なので、誰が対応するかが分かることに意味があります。抵抗がある場合は、後ろ姿や手元、事務所の様子でも構いません。無人の建物写真だけという状態を避けてください。

まとめ

士業のサイトで相談が増えないとき、足りないのは専門性の説明ではなく、料金・対応範囲・初回相談の手順です。この3つは書けば消える不安なので、まずここから埋めてください。

いまのサイトのどこで判断が止まっているかは、外から見ると分かりやすいものです。現状を伺ったうえで、直す順番をお伝えします。お問い合わせからご相談ください。