ブランディングは何のためにやるのか
価格以外の判断材料を作るためです。見た目が整っていないサイトは、「同じことができる会社の中で、いちばん安いところ」として比較されます。
中小企業にとって、これは死活問題です。大手と同じ土俵で価格を競い合うと、体力の差がそのまま結果になります。価格以外で選ばれる理由を示せて初めて、適正な単価で受注できます。
この記事は、予算が限られる中で何から手を付けるべきか迷っている事業主向けです。
ブランディングとは、具体的に何をすることですか
「かっこよくすること」ではありません。選ばれる理由を、一目で伝わる形にすることです。
作業としては、次の4つに分かれます。
| 要素 | 決めること |
|---|---|
| 写真 | 何を、どういう距離で写すか |
| 配色と書体 | どの色と書体を、どこに使うか |
| 文章のトーン | 誰に向けて、どんな距離感で話すか |
| ロゴ | 事業の性格を、記号としてどう表すか |
このうち、費用がかかるのは写真とロゴだけです。配色と文章のトーンは、決めるだけなら費用がかかりません。
どこから手を付けるべきか
予算が限られている場合、次の順序が効きます。
- 写真。 最も印象を左右します。素材写真を実写に変えるだけで変わります
- 配色と書体のルール。 決めるだけなら費用はかかりません
- 文章のトーン。 誰に向けて話しているかを統一します
- ロゴ。 上3つが整うまでは、作り直しても効果が出にくい
順番が逆になっている例をよく見ます。ロゴから作り直し、写真は素材のまま、というものです。この場合、ロゴだけが浮いて見えます。
配色・書体・余白のルールをどう決めて納品するかは、ブランディングデザインのページに書いています。作り直しの判断そのものは、ホームページを作り直すタイミングで扱っています。
なぜ写真が最優先なのですか
画面に占める面積が最も大きく、真偽が伝わるためです。
素材写真は、見る人に「よそから借りてきたもの」と伝わります。写っているのが自社の人でも場所でもないことは、はっきり分からなくても感じ取られます。実際の現場の写真は、それだけで他社と違うものになります。
撮るときの要点は3つです。
- 明るい時間に、窓の近くで撮る
- 全体より、手元や道具に寄る
- 人が写る場合、後ろ姿や作業中の姿でよい
顔を出したくない場合、無理に出す必要はありません。手元や背中でも、人がいることは伝わります。逆に、実在しない人物の写真を使うのは避けてください。 見る人が実際の店舗や社員だと誤解します。生成した人物の画像も同じです。後から実在しないと分かったときに失うものが大きすぎます。
枚数は多くなくて構いません。よく撮れた5枚を使い回すほうが、平凡な30枚を並べるより印象が整います。同じ日に、同じ光の条件で撮ると、並べたときに揃って見えます。日を分けて撮った写真は、色味が合わずに散らかります。
配色と書体は、どう決めればよいですか
数を絞ることが要点です。増やすほど散らかります。
| 決めるもの | 目安 |
|---|---|
| 主となる色 | 1色 |
| 補助の色 | 1〜2色 |
| 強調の色 | 1色(面では使わない) |
| 書体 | 見出しと本文で2種類まで |
色は、すでに手元にあるものから決めると早く進みます。看板、制服、車両、既存のロゴ。そこにある色を使えば、実物と画面が一致します。
当サイトも同じ考え方で作っています。ロゴが淡い水彩とグレーの文字であるため、暗い背景では成立しません。そこで紙のような明るい背景を基調とし、色は水彩の3色に絞っています。先に制約を決めると、迷う場面が減ります。
文章のトーンは、なぜ効くのですか
読む人が、自分に向けられた文章かどうかを判断するためです。
同じ内容でも、書き方で相手が変わります。専門用語を並べれば同業者向けに、噛み砕けば初めて依頼する人向けになります。どちらが正しいかではなく、どちらを選ぶかを決めていないことが問題です。
決めるのは3つだけです。
- 誰に向けて書くか(発注が初めての人か、比較検討中の人か)
- どこまで説明するか(専門用語に注釈を付けるか)
- 呼び方をどうするか(御社か、お客様か)
決めたら、既存のページを1つずつ直します。全ページを同時に直す必要はありません。問い合わせに近いページから順に整えてください。
決めた内容は、短くてよいので書き残してください。頭の中にあるだけだと、次に文章を足すときに揺れます。書き残しておけば、別の人が書いても揃います。
ロゴは、いつ作り直すべきですか
写真・配色・文章が整ってからです。順番を守れば、費用も無駄になりません。
先にロゴを作ると、周囲が整っていないため、良し悪しの判断ができません。その状態で決めたロゴは、他が整った後に合わなくなります。作り直しが2回になります。
なお、ロゴが古く見える場合でも、そのまま使い続ける選択はあります。長く使われているロゴには、地域での認知という価値があります。作り直すかどうかは、認知の量と、いまのロゴが与える印象を比べて決めてください。
全面的に作り直さず、整えるだけで済むこともあります。文字の間隔を直す、線の太さを揃える、色を1つに絞る。この程度の調整で、古さの多くは消えます。看板や車両、名刺をすべて作り替える費用を考えると、この選択は現実的です。
判断に迷ったら、ロゴを小さく表示してみてください。実際に使われる大きさは、名刺の隅や画面の左上です。その大きさで読めない、形が潰れるという場合は、作り直す理由になります。大きく表示したときの印象で決めないでください。
効果はどう測ればよいですか
問い合わせの「質」で見ます。件数ではありません。
見るのは次の変化です。
- 値引き前提の相談が減ったか
- 条件を具体的に書いた相談が増えたか
- 相見積もりの1社としてではなく、指名で来ているか
件数は、検索順位や広告の影響を強く受けます。ブランディングの効果は、そこには表れにくいものです。同じ件数でも、話が早く進むようになっていれば効いています。
判断には時間がかかります。問い合わせの母数が月に数件の事業では、1か月では違いが分かりません。半年ほど、相談の内容を記録しておいてください。当サイトの管理画面に社内メモの欄を設けているのも、この記録を残すためです。何を見て問い合わせたかが分かると、次に直す場所が決まります。
よくある質問
Q. ロゴから作るべきではないのですか
ロゴ単体で印象は決まりません。写真と配色が整っていないサイトでは、ロゴだけ良くても浮きます。順番としては最後です。ただし、創業時でこれから全部を作る場合は例外で、ロゴを決めてから配色を決めるほうが早く進みます。
Q. 予算が本当に限られています。1つだけやるとしたら何ですか
写真です。既存の写真を、明るい時間に撮り直した実写に差し替えてください。撮影を依頼せず、スマートフォンで撮っても効果があります。素材写真が実写に変わるだけで、同じ構成のサイトの印象が変わります。
Q. 業種によって、優先順位は変わりますか
大きくは変わりません。ただし、店舗を持つ業種では写真の比重がさらに上がります。来店するかどうかを、写真で判断されるためです。逆に、士業のように来店前の信頼が中心となる業種では、文章のトーンと担当者の情報が先に効きます。
まとめ
ブランディングは、かっこよくすることではなく、選ばれる理由を一目で伝えることです。予算が限られるなら、写真、配色と書体のルール、文章のトーン、ロゴの順で手を付けてください。効果は問い合わせの件数ではなく、質の変化に表れます。
どこから手を付けるべきかは、いまのサイトと事業の状況を伺えばお伝えできます。写真の撮り方だけを相談したい、という形でも構いません。お問い合わせからご相談ください。